深海だ。
*****
お正月休みの間にも、地元の本屋さんに行ってきました。
“連休で時間もあるし、たまには小説でも読んでみようかなぁ”と思って、目に留まった本がありました。
棚の上のほうの段に面陳列されていた、この本です。
『海に降る』 朱野帰子 / 幻冬舎文庫
“海”というワードに惹かれました。
やっぱり、“海”って聞くと興味をそそられます。
本を手に取り、裏表紙の解説を読んだ後、表紙をめくってみると、冒頭の文章がタイトルの文章でした。
最近、『宇宙兄弟』というマンガを読んで、“宇宙かぁ”と感心していてからの“深海”だったので、インパクト大でした。
本には、こういう突然の出会いがあるのが楽しいです。
解説ページ込みで387ページで、僕にとってはちょっとボリュームがある感じでしたが、この休みの間に1.5日くらいかけて読み終わりました。
僕は、本を小説を読むときはできるだけストーリーを忘れないように“短期間に一気に読みたい派”です。
“社会人3~4年目ぐらいの主人公が閉所恐怖症になってしまうという困難に直面するも、それを克服し、潜水調査艇のパイロットして深海に潜るという目標に向かって頑張る”という物語の内容からすると、“10代から20代前半世代に向けた本かな”と思います。それでも、今の僕にも共感ポイントがいくつかあって楽しめました。
そのうち、1つのシーンについてご紹介します。
***
潜水調査艇には、有人機と無人機があります。どちらが良いってものではなく、有人には有人の、無人には無人の夢があります。そういったなかでも、“人間が潜る意義”はなんなのかを描写したシーンです。
そのシーンでの、潜水調査艇にパイロットと一緒に乗船して深海を調査する研究者のセリフです。
「人間の目はカメラのレンズとは違う。世界の奥行き、その場の空気、岩の質感、生物の気配。行けば、色んなインスピレーションが面白いほど湧いてくる。密閉された耐え圧殻(潜水調査艇内の狭い狭い居住区)の中にいながら、匂いすら感じるという人もいるくらいだ。」
宇宙開発にも有人探査機と無人探査機がありますが、正直なところ“調べたいことが分かったら、どっちでもいいんじゃない”と僕は思ってしまっていました。それでも、“人間の目でしか分からないこと、人間にしか分からないことがある”と、僕も思います。だから、“どっちでもいい”のではなくて、“有人である理由”もあるし、“無人である理由”もきちんとあるんだなとしっかりと感じるようになりました。
***
『海洋研究開発機構』のPR要素も少しあるのかもしれませんが、実在する組織を舞台にした物語だったので、“こういう世界で頑張っている人たちもいるんだな”と刺激になりました。
あとは、“仕事への向き合い方”みたいなものがところどころにちりばめられていて、個人的には楽しめた一冊でした。
裏表紙 : 解説
僕はもともと文章を読むのが苦手です。
高校生の時に文系か理系かを選択するとき、“数学や理科が特別好き”という理由ではなく、“国語が苦手”という理由で理系を選んだ記憶があります。
まぁ、今となっては“後付け”の理由にすぎないかもしれませんが
特に「ここでの筆者の気持ちを書きなさい」という問題が苦手でした。“そんなん、作者に聞かんと分からんじゃん!”と思ってました。
あとは、“じっくりと活字を読む”という行為が苦手でした。というより、今も苦手です。すぐ集中力が切れてしまいます💦
ただ、自分の考えを言葉にしたり、見たことを表現したり、そもそも自分の頭の中で考えるための言葉を出したりするのには、もう少し読書の数を増やしたほうがいいかなとここ数年感じていました。
社会人になりたてのころは、手当たり次第に本を読んでいた時期がありました。ですが、その後なんか勝手に自分の中でいろいろ分かった気になってしまって、本をあまり読まなくなってしまっていました。
なので、2020年は最低月に1冊を目標に、年12冊は読んでみようと思います。
“年12冊”という数字を見ると、少なくない?と思ってしまうけど、自分がどれくらい読書をしているのかを把握する上での数値目標としておきます。
今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。